Amazon Roboticsの何が凄い?

関東から九州まで、全国でAmazonの倉庫は、20拠点以上にまで拡大している。Amazonは、それらの自社拠点を倉庫とは呼ばず、フルフィルメントセンターと呼ぶのだ。Amazonは、すべての物流拠点は、単純に在庫を管理し配送する場所でなく、お客様の満足を満たすためのセンターと考えている。地球上で最もお客様を大切にする企業という企業理念を掲げるAmazonらしい考え方である。今回はAmazonの倉庫に潜入して、フルフィルメントセンターの内部とAmazonがどのようにお客様の満足を満たしているのかを紹介する。 Amazonの倉庫から人が居なくなる 2020年、現時点で最先端技術のAmazonの倉庫は、Amazon Robotics(アマゾン・ロボティクス、以下「AR」)だ。2016年12月に神奈川県に13番目の拠点となるアマゾン川崎FC(フルフィルメントセンター、以下「FC」)をオープンした。そこは、延床面積約4万平方メートルを誇るまさに巨大な倉庫で、日本初となるAmazon Roboticsが導入された。その後は、このARのFCは、年々増え続けている。いったい、このARのFCとは、どのようなものなのだろうか。川崎FCの場合は、3Fのフロア全てがAR専用で、一足、倉庫内部に足を踏み入れると目の前には驚くべき光景が映る。高い柵で仕切られた広大なスペースの中に、何千というほどの黄色の派手な棚が無数に動いている。なんと、橙色の自走式のロボットが、商品を保管している棚の下に潜り込み、棚を持ち上げ、注文が入った商品が入る棚を、棚ごと作業者のところへ運んでくるのである。棚入れ(入荷)、ピッキング(出荷)、検品などの品質管理の3種類の異なった役割のステーションがあり、そこで作業者が待つ。それぞれのステーションの前には、棚を担いだ自走式ロボットが一列に並んで順番待ちをしている。作業者が棚に保管されている商品への作業が完了すると、また棚は、どこかへ戻っていく。従来のAmazonの倉庫では、多くの作業者がカートを押して倉庫内部を歩き回るイメージだったのだが、ARのFCの場合は、歩き回っている作業者はまったく見当たらない。また、作業者の数の少なさにも目を疑うことになる。ARの導入で、Amazonは、作業者確保という雇用の困難な問題もクリアし、ますます対象地域を拡大していくだろう。 Amazon Roboticsの凄い技術 ARの技術は、単に自走式ロボットによって、棚が作業者が待つステーションに自ら移動してくるだけではない。1つ目は、ステーションの凄さだ。ステーションには、多くのカメラやバーコードリーダー、モニターなどが装備されており、作業者が手に取った商品を自動でスキャンしていく。そして、その商品を取って入れる場所を光で導いてくれる。これにより、作業者による判断ミスはなくなる。次に2つ目は、棚や自動式ロボットの凄さである。棚は、様々なサイズの間口を兼ね備えており、その素材は、布である。これにより軽量化されていることが見てわかる。床には、小刻みにマス目の中央にQRコードのようなものが貼ってあり、それを中心に自走式ロボットが床のコードを読み込みながらかなりの速度で移動している。絶対にロボットユニット同士が衝突することはないそうだ。また、棚から商品が落下した場合は、小さなタブレット一つで、一部のスペースだけを停止モードにし、安全に人が立ち入り落下した商品を拾うことが可能だ。この限定的なスペースだけを停止モードにすることで、清掃やメンテナンスを行っている。また、ロボットは高容量のバッテリーが装備されており、バッテリーが減少すると、フロアに複数ある充電スペースへ自走し、自分で充電しているのだ。休憩しているようにも見え、何とも愛着の沸く姿でもある。 Amazonの次の物流戦略の一手とは この「AR」の登場は物流業界全体の方向性を決定づけ、多くの企業が設備投資を行ったことは間違いない。それだけ実績効果をあげているということだ。FCへの「AR」の導入により、効率的な在庫管理が可能となることで、倉庫に保管できる在庫量が40%以上増えたと同社サイト内にも記されている。このようにすっかり物流業界のリーダーとしてのポジションを獲得したAmazonの次の一手に注目が集まっている。Amazonは、近年、自社配送を開始したのだ。これによりAmazonのロゴが印字されたトラックやバンも見かけるようになった。さらにアメリカのAmazonでは2018年6月から「Delivery [...]